「お前、喧嘩慣れしてるな」

「まあ、最近ご無沙汰だったんだけど」



思い出したのは昨日。

喧嘩なんて1年以上してなかった。



「鈍ってなくてよかった」



怒りは消えなくて、後ろにいるお兄ちゃんの制止なんか聞こえなかった。



「あんまり舐めてると、痛い目みるぞ」



立ち上がった黒川は私に銃口を向けていた。



「あー…やっぱり持ってるか」

「お前らみたいなお遊びとは違うんだよ」



相変わらずの笑っていない目に、思わずにニヤッとしてしまった。



「瑠榎!!」

「動いたら撃つぞ」



お兄ちゃんが駆けよろうとしてくれたけど、黒川の一言でその場にとどまる。



「残念だったな」



引き金に指がかかり、撃たれると思った瞬間に素早く銃の持っている腕を封じて銃を奪い、手の届かないところへと投げた。



「残念、はどっちでしょうね」

「お前…」



右腕を抑えて、私を睨む黒川に私は笑顔を向けた。


体格や力の差があっても、銃を落とす技を早川さんから教えてもらっていた。

まさか役に立つとは…。



「さて。飛び道具はなくなったところで、勝負する?」

「あんまり大人をなめるなよ…?」



怒りの表情をみせる黒川との殴り合いが始まった。