あぁ…怒りってすごいなあ。
「そっか…あんたがね…」
ゆらっと立ち上がり、黒川へと歩を進める。
今まであんなに怖かったのに、今じゃ何も怖くない。
憎い。
「今まであんたに縛られて生きてきたけど、それは前の私だったから」
「ほぅ…?」
お兄ちゃんより前に出て、黒川を見下す。
一瞬驚いたように目を見開いたけど、すぐにまた口元に笑みを浮かべる。
「お前みたいな高校生の女に何ができる」
「…なんでもできるっつってんだよ」
黒川の前にいた右の人が動いたのを見て、私の中の喧嘩のスイッチが入った。
右の人も左の人も武器は持ってなくて、素手だったからすぐに床にうずくまってもらえた。
「お前ら。外にこいつらの仲間がうじゃうじゃいるはずだ。やってこい」
どこか楽しそうに黒川が言えば、広間にいた人たちはすぐに部屋の外へと出て行った。