紗江が出て言ったあと、俺は声を出しながら泣いた。
俺は、声を殺しながらなんて、泣けなかった。
―紗江―
そう愛しい人の名前を呼びながら、ひたすら泣いた。
俺には、泣くことしか、できなかった。
俺は…弱かった。
どうしようもない…バカ。
『紗江…ッ紗江ッ!』
今更後悔しても、遅い。
もう、俺たちは…終わった。
『くそッ』
俺は、愛しい人を…

守れなかった。

紗江の最後に見せた笑顔は……

最高に……可愛かった。

俺は、紗江を…忘れない。

…忘れたく…ない。