―別れよう―
そう言われた瞬間、目の前が真っ暗になった。
紗江は、自分を責めて、責めて、責め続けてた。
やめろよ紗江。
お前のせいじゃ…ないんだぞ?
けど、…あんなに言われちゃ、あんな涙をみせられちゃ、…うんとしか言いようがねぇじゃん。
約束くらい…守らせろよ…。
紗江…お前の言葉…辛すぎて耳を押さえたかった。お前のその口を…塞ぎたかった。
けど…体が硬直して、なにも、できなかった。
俺は、情けない。
肝心な時に、なにもできない。
何も、言えない。
約束だって、守れない。
紗江を止めたら、変わったカモしれないのに。
俺には…それができなかった。
…できなかった。
…俺は、最悪な…

…臆病者だ。