慧said

壁に寄りかかるという器用な状態で

わずかな寝息をたてる咲夜さんを横目に俺は考え事をしていた

千鶴に偉そうなことを言ったが

本当に周りに分かれさせられるか・・・

毎時間教室に会いに行くだけじゃ零に迷惑がかかるかもしんねえ

授業中や俺の行くことのできない休憩時間に

クラスの奴らに何をされるかわかんねえ

尽きることのない問題に

徐々に眉間に皺がよっていくのがわかる

「あ、兄貴?」

遠慮がちというか怯えたような声にハッとして前を見ると

制服をきっちり着こなした理人と

少し着崩した明人がいた

「兄貴・・・怒ってる・・・ますか?」

びくびくしながら言った明人

てか言葉おかしい・・・

「あ?」

意味のわからない言葉と反応に首をかしげた

「「ひっ!」」

後ずさりしながら震えている二人

なんなんだこいつら?

「お前の顔が怖いんだよ」

その声に横を向けば起きたらしい咲夜さん

俺の顔が?

「あ、兄貴」

咲夜さんから目を離し声のした方をみた

そっくりな顔が二つ震えていた

「・・・俺たち悪気があって兄貴たち二人の邪魔したわけじゃないんだ」

「は?」

「だ、だから兄貴とあの子の邪魔をしたわけじゃあ」