しばらく部屋の前で待っていると

朝シャンでもしてきたのか、水の滴る髪を無造作に整えながら出てきた慧に呆れる

「風邪ひくぞ・・・」

ぼそりと言うと

聞き逃すか聞き逃さないような声で「大丈夫」という返事が返ってきた

(この前熱出してたのだれだよ・・・)

はぁ・・・

とため息をつきながら廊下を進んでいると、

前方がだんだん騒がしくなってきた

「理人!俺のネクタイ知らねぇか!?」

「知らないよ!てかそれ俺のシャツだから!」

どうやら騒がしいのは理人と明人のようだ

向かい合う扉を行ったり来たりしている明人に、明人にイラついてるのか扉から顔を出して怒鳴る理人

明人の方が兄なのに落ち着きがあったもんじゃない

かといって理人の方も今は落ち着きがない

それにくらべて・・・

横に居る慧を見る

「なんだよ・・・」

「いや、別に」

慧は落ち着きすぎているというか・・・

無愛想というか・・・

まぁ、どっちにしろ生意気だな

それはそうとこの騒ぎは当分終わりそうにないな

そう判断した俺は壁に寄りかかり目を閉じる

珍しく朝早かったし、ちょっと寝る・・・