「なななななんで、慧が目の前に!?」

顔を真っ赤にさせた美少女は頬に手を当ててパニクっている

「まぁまぁ零ちゃん、落ち着いて?みんな見てるよ」

そんな美少女に優しく微笑みかけた姉さんの声にならって美少女がこっちをむいた

「さ、咲にぃ!?」

・・・はい?

こちらをむいた美少女の目には、俺たちなど目に入っておらず一点を見つめていた

と、そんなことより

「「咲にぃ?」」

俺と明人が同時に同じことを言った

「え?」

驚いた声とともに咲夜さんから目を離し、ようやく俺たちの存在に気づいた美少女

美少女が俺たちを見た瞬間

息をのんだ、隣の明人も息をのんだのがわかった

パニックになっていたためか頬はほんのり赤く

黒目がちの大きな目は吸い込まれそうなほど大きい

と、着ている制服が清凛中学の物だということに気が付く

こんな子、清凛にいただろうか?

いたら間違いなく話題になっていただろうに

転校生か?

いやでも時期がおかしい…

「慧の…そっくりさん?」

思案する俺の耳に飛び込んできた鈴を転がすような声

初めて落ち着いた声を聞いた…

ってそうじゃなくて

そっくりさんっておかしいだろ

そう思っていると姉さんの嬉しそうな声が聞こえた

「やっぱり零ちゃん可愛いッ!そっくりさんだって!」

ギュッ

「うぐッ…」

「ね?咲夜?」

「あ、あぁ…」

美少女に抱きついた姉さんに呆れたように返す咲夜さんを見て

この状況が初めてではないことがわかる