慧said
疾風と別れて家路についたはいいが
どうしたものか・・・
呉城という表札のかかった豪邸の前で立ち往生する
誰かに見つかると厄介だ
そう思い意を決して門の中に踏み込んだ
幸い家の電気はすべて消えているようだ
時間を確認すると0時を過ぎていた
足音を立てないように家の中を進みようやく自分の部屋にたどり着いた
パタンッ
扉を閉じると思わずため息が出た
ふぅ・・・
零を自分のベットに寝かせ
俺はベットの下に座りベットに突っ伏した
眼鏡・・・外した方がいいか
そっと零の顔から眼鏡を取り上げる
整った零の顔には涙の痕がある
先ほどより幾らかましにはなったがその顔からまだ悲しみは消えていなかった
気が付くと零の頬に手を伸ばしていた
「ん・・・」
その声にハッとして手を引っ込めようとすると零の手に掴まれた
零の行動に目を見開いて固まる
どうにかして離そうとしたが零の表情を見てやめた
すごく安心したような
安らかな表情で眠る零に俺もしばらくして瞼を閉じた