「夕奈、おはよ!」

「おはよう、梨緒。」

7月。

太陽が、じりじりと大地を焦がして。

草や木が、ぐんぐんと成長する。

みんみんみん、とせわしなく鳴り響く、蝉の鳴き声。

夏の風物詩を、これでもかというほど、身を持って体感しながら。

今日も、私たち「学生」は、汗をかきながら学校へと足を運ぶ。

「今日も、あっついね!」

「ほんと、溶けるんじゃないかな。」

下敷きで扇ぎ、人工風を作るのはもはや常識。

廊下から教室に入るときは、もはや天国のような、楽園のような。


そんな気分になるのも、常識。