あたしはその場の空気を静めたくて、僚介くんにお姫様抱っこされたまま直也の制服を掴んだ。


「亜由? どした?」


さっきまで僚介くんと不機嫌そうに話していたのに、打って変わってとても優しい声。


「直也、ありがとう」


「・・・っ、別に」


動けないのにあたしを守ろうとしてくれて、僚介くんに頼んでまであたしを守ろうとしてくれて、ありがとう。


そんな意味を込めて、嬉しさを隠せずに直也に笑顔でお礼を言った。