羅李はグッと眉をしかめる。

魔力の力が小梅の体にいたときよりもさらに増した。

悪くすれば、羅李が一番避けて通りたかった「長期戦」という事態になるかもしれない。

硬質化の効き目は一瞬しか持たないので、戦闘ではあまり使えない。ここは体の一部を喰われる覚悟で行くしかないようだ。


どうこう考えている間にも、喰人魔の手が数本飛び出した。羅李は慌てずに軽やかにかわす。

「・・・くそっ、来い!」

もう一度胸の前で手を合わせ、使い魔を召喚させた(使い魔といっても、小さな式神程度の力だ)。棒人間に似た使い魔達が次々と飛び出す。しかし、その使い魔達は、早くも全滅させられる。


原因は、手の内にあるあの口だ。

歯は剃刀のようになり、八重歯は牙のように尖っている。あれでは体を綺麗に噛み千切ることなど容易いだろう。