古くなったコンクリートには、見事なひびが入る。
「硬質化の防衛術・・・・間に合ったか・・・」
羅李の体はどこも傷ついていない。硬質化された羅李の体の跡が、コンクリートに開いた穴となって残っている。
〔しぶとい小僧じゃ・・・〕
「それは、こっちの台詞だ」
目の前に写る喰人魔の姿を見て言う。
まるで人間の姿をしていなかった。
手や足は十数本も生え、目はあちこちについてぞろぞろと動き、イボのような物がついた体。体つきは人に近かったが、作りは明らかに人間ではない(手が十数本もある地点でもおかしい)。
手の内には、人の口のようなものが付いている。
「うーっわ・・・キモ・・・」
ついつい手で口を覆いたくなるほどの恐ろしさである。
「小梅はこんなやつに取り付かれていたのか」
〔あの小娘ももう役に立たぬ。貴様の跡に喰ろうてやるわ〕
「欲望を抱くのは、勝手にせい」