「あの・・・私の鼻血だって、言ったよね?」
挙動不審な言い方だ。
追い討ちをかけるように、羅李は言った。
「鼻血が自分のものなら、調べるくらい良かろう。それとも、調べられると困る事でもあるか?」
小梅が黙っているのを見て、羅李は「だろうな」とさらに言う。
「何せその血はあんたのじゃない。蓮見さんの血液だからな」
院長も蓮見も耳を疑う。本当なのか?と言うように目を見開いていた。
羅李は戦闘体制に入り、手に篭手と手甲をつける。
「そうだな?病魔ナンバー0415『喰人魔』」
小梅を見てみると、先程とはずいぶん違うオーラを漂わせていた。優しく豪快そうなイメージは一気に崩れ、殺気が体をまとい、形相も鬼のようだ。
「本来、お前に取り付かれた場合は咳が多くなる程度だが、本当に厄介なのは、その取り付かれた人間を操り、人を襲う事。普通の病魔は魂だけを食する。人の肉を食らうのはお前の特徴でもあるからな」
羅李はさらに続けて言った。小梅あらため喰人魔が殺気を増すほど、羅李のやる気も上がった。