「ちょっと、指を見せてもらえるか?」
「ああ、どうぞ・・・」
蓮見の指を見ようと、羅李は優しく手に触れ、持ち上げる。なくなった指に切り口のようなものはない。まるで血がないか、元々からそういう形かであったように、危害を加えられた形跡はなかった。
しかし、1つだけ気にかかることがある。
指の根元、切り離されている所に歯形のような跡と、何かの液体が乾いたような物がこびりついている。
(この歯形は・・・)
猿や人間の歯形だ。だとすれば、と液体の乾いたようなものに目をやって見る。
これが『唾液』だとすれば、確信に追いつけそうだ。
「1つ調べてもらいたい」
「ど、どうした?」
何かわかったか、と院長は聞いてくる。
「小梅さんの襟についている鼻血、DNA鑑定でもしてみようか」
その言葉を聞き、小梅はギョッとした。