……家に帰ると母親がいた。 
「どこに行ってたのよ」
といきなり母親が怒りながら問い掛けてきた。


「別に…いーじゃん、人がどこに行こうがお母さんには関係ないでしょ!!」 


とイラつく口調で言い、「部屋に入んないでよ?!」と怒って二階に上がり、バタン!と勢い良く部屋のドアを閉めた。  





部屋に入った私は勢い良くベッドに倒れこみ、おもいっきり泣いた。 





「うっ……つ…」



泣いても泣いても何かが変わるわけでもない。 

けれど… 


今、おもいっきり泣きたい気分だった。 
 



「もぅ…ぃやぁ―…なんで私ばっかりっ…ひっく……なんで私なのぉ―……」





泣いても泣いても気持ちは晴れない。 
涙が出ても出ても止まらない。  



【恋なんて言葉はもぅ私にはないんだ―…私は汚れているから…誰も愛せないよ…もぅ…好きな人なんて出来ないよ…】





頬に涙が伝ってきた。


そしてさっき買ったカッターを取り出し、刃を出して左手首へと持っていった。 




「こんな汚れた私なんて…死んじゃえば楽になれ……」



と言いかけた時だった。 


あのノートが目に入った。 




「佐々木が…選んだノート……」




そぅ、佐々木が選んだあのノートを手に持って眺めた。  


『上田に…似合うからさ!水色って…』




佐々木が言ったその言葉。


嬉しかった。  



佐々木、顔赤かった…


ドキドキした…




でも私は恋しちゃ駄目なんだ。



それに、普通の佐々木になんか恋しちゃもっと駄目だ…。

決して私は恋しちゃ駄目。 



普通の人を巻き込んじゃ駄目。  



私は自分にそぅ言い聞かせ、我慢した。