なぜか今日会ったあの謎のイケメンが頭から離れない。
名前も分かんないし、普段あんまり学校行かないから会うこともない。
「レイちゃん今日も綺麗だね~。」
客の声でふと我に返る。
「あ、ありがとうございます~。」
あっぶない、集中しろアタシ!
「レイ、何ぼーっとしてんだよ。」
隣りから耳打ちしてきたのはユウキ。あたしの彼氏。
あたしは毎日ここのバーと風俗が混ざった店でで働いてる。
親に捨てられたあの日、泣き崩れてどうしようもなかったあたしをユウキは拾ってくれた。
それからここで働きながら近くのアパートで独り暮らし。
「レイちゃん。」
カウンターに置かれたのは1万円札。
今日のあたしは1万円。
「じゃあ、あっちの個室行きましょうか。」
あたしの作り笑顔に嬉しそうについてくる客。