「すいません…」

「や、まあ…。しょうがないのか」

「は…?」

「ふ、自覚ナシ女め」

 
急に間宮さんがおかしなことを言うから、あたしはどうして良いか分からなくなった。

そんなあたしにピン、と軽くデコピンをして、また歩き始めた。

 
手を、握って。



 
「あ」

「え?」

 
先ほどからまだ何分もしないうちに、間宮さんが足を止めた。


 
「なんですか?」

「朝未さー」

「はい?」
 
「俊介くんて呼んでんの?」



ふうと小さな息を吐いて、意地悪そうな笑顔で言った。

「え…はい」

「ふーん」
 
 
それだけ言って、また歩き出した。

 
 
手を離して。