「ただ、」



そのことに、気付いたのはいつだったのか。知らないふりを、していたかったのか。


笑顔も、泣き顔も、呆れた顔も、辛そうな顔も、安心したような顔も。


俺が支えてやりたくて、一人にしたら危なっかしくて心配で、側に居たくて。


間違いなく、それは。



「凜華が、好きだから」


「────」


「凜華が、誰よりも大切だから」



ぼんやりと呟くように出た言葉は、ストンと心に落ちてきた。迷う必要なんて無かった。


ゆるりと姫蝶を見れば、漆黒の瞳で俺を捉えて、



「お前の覚悟に応えよう。──『the knight』が名の元に」



嬉しそうに、笑っていた。