杏さんが部屋を出てすぐに



僕は愛歌の病室に行った。



―――トントン。―――



「はい。」



「愛歌?僕だけど・・・入っていいか?」



「入れば。」



愛歌はなんか怒っているようだ。



――――ガラガラ~バタン。――――



「本は?」



「ごめん。ドコの本屋にもなかったんだ。」



「はぁ!!もう一回行ってきて。なんとしてでも探してくる事。分かったか!!」



「はっ、はい~。」



――――ガラガラ~バタン。――――


愛歌に病室を追い出されて1時間ほどたった。



どれだけ探しても愛歌が言っていた2冊はなかった。



歩いていると、ふと姉ちゃんの部屋が頭の中に浮かんだ。



姉ちゃんは本が好きで部屋にたくさんあったはずだ。



僕は、家まで全速力で走った。



――――ガチャ、バタン。――――



家には誰も居なかった。



母さんは仕事。父さんは離婚していない。姉ちゃんは1人暮らしを始めたらしい。



まだそのまま部屋をかたずけてなかったらいいんだけど・・・



たっ、たっ、たっ、たっ、たっ



姉ちゃんの部屋は出ていった時のままだった。



本は作者別に綺麗に並べてあった。



愛歌が言っていた2冊もあった。



「愛歌には後で返してもらおう。」



僕は病院に急いで戻った。