夕方5時頃病院を出たのにもう朝の3時だ。



この10時間でもう18個もの本屋を回ったが



愛歌が言っていた本はなかった。



もうすぐ看護士さんたちが病院内の見回りをする時間だ。



それまでに帰らないと大変な事になる。



僕は病院まで全速力で走って帰った。



――――涼貴の病室――――



「ふぅ・・・・・・」



ぎりぎり間に合ったみたいだ。



―――ガラガラ~バタン。―――



「あっ!!涼貴くん。起きてたの?早いね。」



看護士の『瀬戸原 杏奈』さんだ。



皆から『杏さん』と呼ばれ親しまれている人だ。



「杏さん。おはようございます。」



「あら・・・涼貴くん。汗でびちょびちょじゃん。また脱走してきたのね?」



「はい。本屋まで。」



「あらそう。でも涼貴くん病人なんだからほどほどにね。」



「はぁい。」



杏さんは僕が脱走しても大目に見てくれる。



「じゃあ他のトコ見てくるね。」



―――ガラガラ~バタン。―――