それからの毎日は、ずっと愛歌のパシリに使われていた。



最初の方は、病院内のお店みたいなトコで、なにか買ってくる事ばかりだった。





――――パシられ始めてから1週間後――――



「涼、本買ってきて。」



「どこで?ココの病院には、本屋なんかないぞ。」

ココの病院はないというのは、『隣町の神崎病院にはあるけど』という事だ。



「あったり前でしょ。買ってくるまで戻ってくるな。ちょこっと脱走して行ってくればいいでしょ。」



うぅ・・・・・看護士の目を盗んで脱走するのはそう簡単な事じゃないのに・・・。



「てゆうか、何の本がいいんだよ。」



「う~ん・・・。ミヒャル・エンデの『モモ』と『はてしない物語』ね。」



「えぇーーーーー!!そんな古いの探して来いっていうのか?!むりだろっ。」



「うるさぁ~い!!さっさと探してこんかぁい!!」



「はっ!はいっ!」



――――ガラガラ~バタン。――――



<愛歌Side>



私、どうかしたのだろうか?



涼の顔を見ていると、自分の心臓が



狂ったようにバクバク言っているような気がする・・・。



なぜだか顔も火照ってきた。



これは風邪だ。私は今風邪をひいているに違いない。



寝たら直るだろう。そう思い、愛歌は眠りについた・・・。