彼女の名前は、桜井 愛歌。

そして僕が、小川 涼貴。いつも愛歌のパシリにされている。

たとえば・・・・・・・

「涼ジュース買ってきて。」

「何がいい?」

「何でもいい。涼にまかせる。」

何でもいいんだったら、愛歌の好きなジュースを買おうと思って、

りんごジュースを買って持っていく。そしたらひどい言葉が返ってくる。

「今、こんな気分じゃない。買いなおしてきて。」とこんな感じだ。




僕は愛歌と会った5年前の事を、今でも鮮明に覚えている。

あれは、僕が転院してから3日後のことだった。

狭い廊下の曲がり角で2人はぶつかった。

愛歌がこけそうになったから、僕が支えてなんとかこけずにすんだ。

でも愛歌は、

「危ないじゃない。ちゃんと前見て歩け。」と、

冷たい態度をとって、行ってしまった。