遅めの朝食を兼ねた昼食を簡単に済ませると、私は身支度をして家を出た。

……夕方になれば、多華子が彼を連れて帰ってくるだろう。
そしてきっと「一緒にご飯を食べよう」って私のことを気遣ってくれるんだ。

そう思うと、なんとなく家には居づらかった。


家の近くにある本屋でしばらく時間をつぶした後、歩き慣れた道を行く。
私の足は自然と地下鉄の駅へ向かっていた。

定期を使って改札を通り抜けると、ちょうどホームに電車が入ってきたところだった。

車内はそれほど込み合っていなかったが、私はドアのそばに立ち、外の景色を眺めながら電車の揺れに身を任せる。

窓の外には見慣れた風景が映し出されていた。

行き先は、3つ先の駅。

駅を降りればそこには私の通う大学があり、
バイトをしている喫茶店があり、
そのそばには『らーめん うちだ』がある。

そんな、毎日通っている駅だった。