――ガチャッ 玄関の扉が開く音。 その音を聞いた駿と私の肩が、ビクッと震えた。 ……この音が、悪夢の始まり。 「ね、おへやもどろ」 いつも私は駿の手を引いて、リビングを通り、部屋を出ようとする。 あの人に会う前に。 そう思っても、子どもの足で行ける所には限界があった。 「あ……」 ドアの近くでぶつかったその人を見て、私と駿は顔を真っ青にさせた。