16歳になった日。
あたし、
『早乙女 茉希(サオトメ マキ)』は
『二階堂(ニカイドウ)茉希』に、
なりました。
16回目の誕プレは、
今までで一番びっくりだった。
だけど、あたしは
慌てることもなく、
その現実を、受け入れた。
わかっていたことだからー…。
あたしは、
早乙女財閥の社長令嬢だから。
仕方のないことだから。
わかっていたことだから。
これで、いいんだ…。
「……よろしく」
あたしの旦那様になった人は。
二階堂財閥の新社長。
二階堂 悠翔(ニカイドウ ユウト)。
「よろしくお願いします」
あたしの7つ上だから、23歳。
7歳も上、か…。
「部屋は、そこを使って。ベットは、ベットルームに一つしかないから、同じベットな。あとは〜…必要なら、メール入れといてくれれば、仕事帰りに買って来る」
「はい、わかりました」
「学校はそのまま通えようと思えば通えるぞ。どうしたい?」
「二階堂さん…いえ、“悠翔さん”にお任せします」
学校なんか、
別に行かなくてもいいし。
どちらかと言えば、
行きたくないに値する。
「じゃあ、学校やめて。勉強がしたいなら、家庭教師を雇うよ」
「わかりました。では明日、学校に退学届けを出しに行ってきますね」
「悠翔、でいい。茉希」
「………わかりました」
悠翔、か…。
弟以外の男性を、
呼び捨てで呼んだこと、
ないんだけど…。