刹那。

 あっ。

 サヤの首筋に、電気が走った。

 それは、グレムリンが動く気配。

 動けるはずなどない。

 もはや、それは電化製品から隔離され、囮端末に閉じ込められているのだから。

 どこにも行けるはずがなかった。

 が。

「孝輔さん!」

 嫌な予感がして、離れた彼のほうを振り返る。

 もしかしてもしかして。

 アレは。

 直樹のアレは。

 電化製品ではないのか。

「うぉっ!」

 予感を言葉にするより早く、直樹の悲鳴があがった。

 火花が散ったのだ。

 そう。

 彼の――手袋から。