「む?」
しかし、直樹は彼の方を見ていなかった。
サヤが、自分の褐色の頬をチョンチョンと指差して、茶髪メガネにクリームのことを教えようとしていたのだ。
ほっときゃいいのに。
目を半開きにしながら、その行動を心の中で責めてみた。
「むむ…?」
彼女の指示で、直樹は自分の頬を触った──が、左右逆だ。
つーか、人の話を聞けよ。
「とにかく…この計画で、デパート側の協力を仰ぐ方向でよろしく」
孝輔は、イライラをごくりと飲み込みながら、最終決断を下そうとした。
それをするのは兄の仕事なのだが、こんな菓子男のワガママでメチャクチャにされたくなかったのだ。
だから、わざと強気に自分が決断したかのような言葉で切った。
孝輔だって、いつまでも兄の言いなりではない。
こういった駆け引きだってできるようになったのだ。
「……」
サヤが反対側とゼスチャーで教えると、ようやく直樹はクリームの所在に気づいたようだ。
無言のまま、クリームを指に付着させることに成功した。
それを、ベロンとなめながら孝輔の方を向き直る。
光るメガネ。
直樹は、真顔のまま──
「やなこった」
スーパーに腹の立つ男だった。
しかし、直樹は彼の方を見ていなかった。
サヤが、自分の褐色の頬をチョンチョンと指差して、茶髪メガネにクリームのことを教えようとしていたのだ。
ほっときゃいいのに。
目を半開きにしながら、その行動を心の中で責めてみた。
「むむ…?」
彼女の指示で、直樹は自分の頬を触った──が、左右逆だ。
つーか、人の話を聞けよ。
「とにかく…この計画で、デパート側の協力を仰ぐ方向でよろしく」
孝輔は、イライラをごくりと飲み込みながら、最終決断を下そうとした。
それをするのは兄の仕事なのだが、こんな菓子男のワガママでメチャクチャにされたくなかったのだ。
だから、わざと強気に自分が決断したかのような言葉で切った。
孝輔だって、いつまでも兄の言いなりではない。
こういった駆け引きだってできるようになったのだ。
「……」
サヤが反対側とゼスチャーで教えると、ようやく直樹はクリームの所在に気づいたようだ。
無言のまま、クリームを指に付着させることに成功した。
それを、ベロンとなめながら孝輔の方を向き直る。
光るメガネ。
直樹は、真顔のまま──
「やなこった」
スーパーに腹の立つ男だった。