エキゾティックで、エキセントリックなサヤ。
兄の持っていた彼女のファイルでは、いま25歳。
孝輔より二つ年上とは思えない、掴みがたい雰囲気。
10代の少女のように見える時もあれば、深い情緒をかもし出す時もある。
だが。
サヤの気持ちが、孝輔を向いていないのは分かっていた。
かといって、直樹の方を向いているとも思えない。
同じ仕事場の人たち。
いまの彼の立場は、せいぜいそんなもの。
孝輔の恋愛姿勢は、ややずるい方になる。
相手の気持ちが、完全にこっちを向いていると分かるまでは、迂闊にしかけきれないのだ。
かといって、外堀から埋めていけるほど器用な人間でもない。
厄介なこった。
要するに、相手から好きになってもらう以外、彼には手立てがない、ということになる。
これまで付き合った経緯も、たいてい向こうからの告白だった。
「孝輔さん?」
彼が黙り込んでいるのに気づいたのだろうか、怪訝にサヤが声をかけてくる。
「あ?」
慌てて返事をすると。
「デパート…通り過ぎましたけど」
「げ」
斜め後ろを指されて、孝輔は針路変更を余儀なくされる。
カッチョワリィぜ、オレ。
自殺点を入れてしまったサッカー選手のように、孝輔は内心でがっくりうなだれたのだった。
兄の持っていた彼女のファイルでは、いま25歳。
孝輔より二つ年上とは思えない、掴みがたい雰囲気。
10代の少女のように見える時もあれば、深い情緒をかもし出す時もある。
だが。
サヤの気持ちが、孝輔を向いていないのは分かっていた。
かといって、直樹の方を向いているとも思えない。
同じ仕事場の人たち。
いまの彼の立場は、せいぜいそんなもの。
孝輔の恋愛姿勢は、ややずるい方になる。
相手の気持ちが、完全にこっちを向いていると分かるまでは、迂闊にしかけきれないのだ。
かといって、外堀から埋めていけるほど器用な人間でもない。
厄介なこった。
要するに、相手から好きになってもらう以外、彼には手立てがない、ということになる。
これまで付き合った経緯も、たいてい向こうからの告白だった。
「孝輔さん?」
彼が黙り込んでいるのに気づいたのだろうか、怪訝にサヤが声をかけてくる。
「あ?」
慌てて返事をすると。
「デパート…通り過ぎましたけど」
「げ」
斜め後ろを指されて、孝輔は針路変更を余儀なくされる。
カッチョワリィぜ、オレ。
自殺点を入れてしまったサッカー選手のように、孝輔は内心でがっくりうなだれたのだった。