「本当に、助かります」
事務所は、基本的に土日が休みだ。
「どーせ暇だったし」
休みの日の孝輔の行動と言えば、腐れ縁の友達と遊ぶか、部屋に引きこもってオタっぽいことに没頭するか。
彼女のいる時代なら、デートなんてこじゃれたものに行くこともあったが、最近はすっかりそっち方面も鳴かず飛ばずだ。
そんな、微妙に暇な孝輔は、日曜日にサヤの買い物に付き合うことにした。
インドから帰国したばかりの彼女は、最低限の生活用品しか持っていない。
ほとんどを、現在タイで修行中の兄の手元においてきたという。
買い物に行くにしても、大荷物になるだろう。
だから、孝輔は自分の車を出した。
これなら、少々かさばる荷物でも積み込める。
とりあえず、何でもそろってるようなデパートに行けばいいか。
事務所ビル前で待ち合わせをして、孝輔は車を出した。