「…っ佐藤先輩!」
夏穂はあたしの手をいとも簡単に離して、キラキラの笑顔で佐藤先輩に駆け寄った。
「あ、夏穂ちゃんじゃん」
「窓から見えて…、走ってきちゃいました!」
えへへ、と笑った夏穂は、女のあたしから見てもかわいい。
─…うまく、いくといいな。
夏穂と佐藤先輩の姿を遠目に見つめて、思わず笑みが零れた時。
「─宮田さん!」
「……え…?」
佐藤先輩の隣にいたはずの、瀬戸先輩があたしの目の前にいた。
「なんで、名前…」
「ん? あぁ、松岡に聞いたんだ」
優人に、あたしの名前を聞いてくれたんだ…
それだけなのに、あたしの心臓は暴れだす。