「…って、言ってるそばから佐藤先輩!!」
窓に貼り付いた夏穂に促されるように、あたしも窓から外を見る。
─…なんで、あたしの目は瀬戸先輩をすぐに捉えるのかな。
体育終わりなのかジャージ姿の先輩達の中に、瀬戸先輩を見つけてしまった。
…今日、初の先輩。
体育の後は、少し髪がぺたんこになるんだぁ…
そして、相変わらず笑ってる。
「……っ」
─そんな笑顔の先輩が、こっちを見た。
あたしを見て、あたしだけにわかるように笑顔を変えたんだ。
太陽みたいな明るい笑顔から、それに少し優しさを足したような笑顔に。