─… キーンコーン…
「あーあ、10分になっちゃった」
「もう言わないで。次の休み時間に、夏穂の話聞くね」
そう言って、自分の席へ戻る。
「…今日の連絡は──」
SHRが始まって、なんとなく窓の外に目をやる。
…この間みたいに、遅刻するんじゃないかなって。
こう思う時点で、さっきの決心は揺らいだようなものだけど。
「─なら、号令」
「起立ー…」
もう、SHRが終わってしまった。
ガタガタと響く椅子の音に、あたしは眉をひそめる。
瀬戸先輩を窓から眺め始めて一ヶ月弱。
初めて、先輩を見ない朝を迎えた。
─…また、後悔。