そろそろ昼休み終了のチャイムが鳴るはず。
もう教室に戻ろう。
気が重くて仕方がないけど…行くしかない。
そして食べかけのお弁当をなおして、歩き始める。
…いまさらだけど、今日は天気がいい。
上を見上げれば、一面に雲一つ無く膨大な広い空。
そして、優しく肌を撫でていく温かい春の風。
なんだか……
『いいなあ…』
と、思ってしまう。
きっと、こういうの、好きなんだと思う。
心が癒される…
『、』
…ふと、目に止める‘ソレ’があった。
‘ソレ’は…男は、大の字になって寝ているようだった。
普段、他人に興味を持たない私が人を気にかけるなんて、自分でも驚いた。
同い年かな、何組かな、とか気にしてる自分にビックリ。
…でも、その理由も何だか分かる気がした、
というのは、
彼の顔が、驚くくらいに整っているからで…。
思わず、ジと見てしまった。
『ホント、何やってんだろ…』
今日の私は、いつもの私じゃない。
今日の私は、変だ。
何だって男の顔なんか見つめてるんだ自分。
キーンコーンカーンコーン…
校舎のチャイムが鳴った。
早く戻らないと。
次の授業は、遅刻すると容赦なく説教する石田(自称36歳)の授業だ。
…一度、説教された事もあるが、あの時は誰もが聞いて分かる程理不尽だった。
あんなのはもう懲り懲りだ。
そして校舎へ走り出そうとした、ちょうどその時。
「なあ、」
男の声がした…。