「ですよねぇ」


青年はわかってるように答えた。


「でも…嬉しかった」


彼女のその噛み締める言葉に、青年からも自然に笑みがこぼれた。



「さっき僕は…よくわからないけど…君を助けたいってすごく…思ったから」





街を走る車。辺りはデパートやビルが建ち並び、僕は一人夕暮れの名古屋の中心を走っていた。


ブランドの専門ショップ。

夕日に照らされるテレビ搭


これといって目的はない。


何もない、誰もいない家に比べたら、やはり賑やかなとこはいい…


気が楽になる。


名古屋駅前の大モニターには、今大人気の女性五人組ユニット、Sky Blueの新曲PVが流れている。


センターで歌っているのはその抜群の存在感と歌唱力で世の若者を虜にした女の子。


綾瀬 栞。


すごい存在感を放っている。

「(相変わらず派手に宣伝してるな…)」


僕はあんまりそうゆうのに流されない…


というか…はまらない。


違う。興味がない。


今までは親の敷いたレールをきちんと歩いて。


将来は医者にでもなって、親を楽にさせることが自分にとっての1番の幸せだと思ってた。


だから恋愛とか馬鹿らしいと思ってたし、女の子は寄ってきてはいたけどアクションは自分から起こさなかった。


告白されても断り続けて来た。


そんな…


クソつまらない僕の人生。