「君ん家」

満面の笑みでミナミはそう言った。

私は結構流されやすいタイプだ。
結局この人の口車に乗せられて
ミナミを自分の家に連れて来てしまった。



「へぇ〜。結構いいとこに住んでるんだね、柚ちゃん。」

名前も一人暮らしの理由もしつこく聞いてくるから
仕方なく教えた。
さっき会ったばかりの人に呼ばれるお気に入りの名前。
変な感じ。

「いつまでここにいるつもりですか?」

「俺の気が住むまで」


呆れて窓の外を見ると
電線に2羽のツバメ。
お迎えにあるマンションの大家さんの家の門向かって飛んで行った。