「はい?」

「だ〜か〜ら〜俺の名前!ミナミって言うのっ」

ミナミは私の手から傘を奪ってそう言った。

「そうじゃなくて。なんで私の傘に?」


「傘無かったから?」

「は?買えばいいじゃないですか」

「めんどくさい」


この人に何を言っても無駄だ。
カッコイイけど、知らない人だし
とにかく早く離れたい。

逃げたいけど
さっき買ったばかりの傘をこの人にくれてやるのはもったいない気がする。


「……どこまで送ればいいんですか?」

きっとこれが早くこの人から離れる方法だと思ったのに。