「…え?な、ないですよっ…」
「嘘だ。言えよ。」
「ほんとにないですってばぁ~…。」
「俺じゃつまんない?」
「いえ!先輩はいい人です!!」
「…いい人…か。」
「はい!」
「俺、愛されてる気しないんだわ。
別れよっか。辛そうだし…。」
「…。」







言い返せなかった。
だって当たってたから。
本当は先輩なんて愛してない。
本当は先生のことで頭がいっぱい…。
そして辛い。










「はい。すみませんでした…。」
「いいって。
あ、その代わり別れたことは言うなよ?」
「はい!!
…先輩、ありがとう…っ。」
「よしよし。
相談ならいつでも聞くからな♪」
「はい!!」





優しくあの時みたいに
そっと撫でてくれた頭の熱は
少しの間残っていた。













先生、忘れるなんて
…できないよ…っ。
戻ってきてよ、瞬…。











この時は気付いてなかった。
“瞬”が“先生”に
変わってきたこと。
少しは健斗のこと、想い始めてたってこと。






でももう遅い。