あぁ、あの日と同じだ。

雨の音が耳の奥でうるさい。


「800円になります」

えらく威勢のいいおばちゃんに手渡された菊の花を持って小さな花屋を出た。

平日だからだろうか。

人はまだらで少なかった。


「もう一年経ったんだね。

 お父さん、お母さん。

 元気?

 親不孝な娘でごめんね。

 もう少しだから・・・

 もう少しだけ頑張ってみるよ」


降り続ける雨が、静かに菊の花を濡らしていた。