「もう後にはひけない・・・」

そう言ったNO.1の声が

何度も胸の中をこだました。


そうだ、交換条件を出そう。


俯く私にNO.1は言った。


「お前が復讐を果たせるように

 いいものをくれてやろう」


ザーザーと止む気配を見せない

雨に混じって見たのは恐ろしくなるくらい

不気味に笑ったNO.1の顔だった。


「目を瞑れ」

言われるがままにそうした。

「もう、いいぞ」


目を開けた瞬間、

さっきと全く同じ世界のはずなのに

そうではない気がしていた。

どこか、真っ暗で、どこにも出口なんてないと

夢を壊された小さな子供のような思い。


「無の心だ。

 これで、お前は強くなる」


意識が戻った時、もうNO.1の姿はなかった。