少ししてから、教科担任の先生が来た。

今から国語の授業。

「今日はこの前やったテストを返します。」

教科担任の一言でクラスのみんなは、

「えー。やめよう」

とか、

「えー!!いらない」

みたいな声が聞こえる。

「静かに!!」

と大きな声で先生が言うと、

教室は一瞬で静かになった。

テスト返すのか、きっと点数悪いんだろうな、

まあ、いいや。気にしない、気にしない

そう思って、窓から見える空を見ていた。

「えーっと。今回のテストもー…」

先生の話なんか、どうでもよかった。

「じゃあ、呼ばれた順に取りに来てください」

一人ひとり名前が呼ばれて、私の番になった。

「おめでとう。この学年で
  満点なのおまえだけだったぞ」

あ。私満点だったんだ。そうなんだ。

満点だったって聞いてもなぜか喜べなかった。

何でだろう。前はあんなにうれしかったのに。

解答用紙を見ながら席に着いた私に、

「おまえはいいよなぁー頭良くて、」

と笑いながら言って来た。

正直、翼はそんなに頭がいいわけでもない。

それに、結構ランクの低いこの高校に

ギリギリ合格できたくらいの感じ。

「そんなことないよ。」

と笑って返した。