私が彼の異変に気付きはじめたのは、二週間前だった。




一緒にいても、どこかよそよそしさを纏っている彼。
最近は、2人で帰ることもなくなった。


彼-高瀬准-と付き合い始めたのは3ヶ月前。

告白は、准からだった。



“好きだ”と言われたあの日から、ずっと帰るのは一緒だったのに…。


「ねぇ、准…今日は一緒に――」
「ごめん、帰れない。」



最後まで言わせて貰えずに
重ねられた言葉。


こんな風に断られるのは、
何回目だろう。




准は、少し面倒くさそうに
顔を上げる。



長めの前髪が、はらりと目元に
かかった。

「あ、そうだったね…。ごめんね。」