「俺でよかったら話きくからさ。」


「あ…ありが……とう。」

知らない人にこんな話をするのはどうかと思ったけど
結局あたしはこの知らない人に今日の出来事を泣きながら話した。

その間彼は何も言わずに優しい表情で聞いてくれた。


「ありがとう。話したらなんかすっきりしたよ。」

なんでかわからないけど
この人に話したらすごく楽な気持になることができた。


「全然いいよ。俺には話し聞くことくらいしかできないけどいつでも聞くからさ。
つらいことあったら俺になんでも言えよ。」

「うん、ホントにありがとう。
そういえばまだ名前聞いてなかったよね?
あたしは心に結ぶって書いてみゆうだよ。あなたの名前は?」


「俺は、瑠璃色の璃と久しいの久で璃久だよ。」

「いい名前だね。ホントに今日はありがとう。
璃久のおかげで楽になれた。」


「あぁ、またなんかあったら言えよ。」

璃久のメアドを知らないことに気付き聞こうとしたその時
璃久の携帯が鳴った。

「あ!!やべ…友達待ってると思うから行くね。じゃあまた!」


そういって璃久は走って行ってしまった。


まだメアド聞いてなかったのに……。
これじゃあもう相談できないじゃん。


それからのあたしは今日あった不思議な男の子…璃久のことばかり考えていて
大翔のことを思い出すことはなかった。