下駄箱で上履きに履き替え教室に向かった。席に座り鞄から雑誌をだした。月間格闘技、ファイトスタイル。キック関係の記事を読んでいた。あ、この選手フリーになるんだとか。またクラッシュやるのかとそれから有名選手のインタビューやテクニックなどを何度も読み返していた。

「やぁ」
  
一人の眼鏡をかけた痩せ型の男子が僕の後ろの席に座った。
名前をしゅんと言う。
4年前将来の夢で「歴史に名を列ねる作曲家」と言った片割れである。
DTMとかいうパソコンで音楽を創ったりしていてボーカロイドなるソフトを駆使して動画サイトに投稿している。他にもピアノが弾けて発表会に何度か聴きに行った。                        
普段は無口だが僕らと居る時は割りと喋る。小学校からずっと一緒である。
「毎日飽きずにそんな雑誌読んでますねー。なに今日も朝走ったの?」
まぁね。でもしゅんだって毎日ピアノ弾いたり夜な夜なパソコンでなんか創ってるじゃん。
「僕はあれが無いと生きていけないのですよ。」

笑顔で答えた。かける情熱は人ぞれぞれですね。

そんな感じで僕の一日が始まった。

僕が劣等性なのは何と言ってもこの授業態度である。国語、数学、英語など廻りめくる授業のなか僕は教科書を読まずノートも取らず、先ほどの格闘技系の雑誌やマニュアル本を読んでいた。
キック入門。
絶対強くなる新空手。
ハイキックが出せる!。
はじめてのボクシング
。ウェイトトレーニングの理論。
古武術など。

様々な本を網羅しており鞄はこれ関係で一杯になっている。部屋に帰れば雑誌と合わせて100冊はあるはずだ。
まぁこんな事していれば入学1週間も経たずして勉強に遅れていくわけだ。この後の中間テストが怖い。