僕は軽くシャドーをやって体をほぐしてから家に入ってシューズを脱いでそのまま風呂場に向かった。先ほどのロードワークでほんのり汗をかいていた。

シャワーでざっと流して5分もしないうちに出た。下着が用意されていて(お母さんありがとう)それに着替えてそのまま自分の部屋に戻って制服を着た。鞄を手に取り居間に行き朝食を済ました。向かい側にお父さんが居た。

「今日も乙女ちゃんがお弁当作ってくれたの?」
と聞いてきたので黙って頷いた。お父さんはその後なにかぶつぶつ言っていたけどスルーして歯を磨いて玄関で靴を履いた。

「今日もジム寄って帰るのかな?」
お母さんが言う。そうだね夕方の7時までには帰るよ。
「そう。怪我しないように気をつけてね。いってらっしゃい。」
お母さんの声を背に僕は学校に向かった

あれから4年。僕は高校生になった。相変わらず劣等性だったわけだが何とか追い込みの勉強のおかげでまずまずの県立の高校に入れた。
場所も家から近くその気になれば徒歩でも行けるけど電車で通学していた。

初めて体感した満員電車では内臓が口から出るんじゃないかと思うくらい人と人に挟まれていたけどそれももう慣れた。
ちなみに乙女姉さんはもっと頭の良い女子高に通っている。乙女ちゃんがいなくて本当に大丈夫?と両親に言われた。大丈夫に決まってるだろ。まったく。
   
電車を降りホームに立つと同じ制服の人間でごったがえしていた。あちこちから。おはよーとかねぇねぇ知ってるーとか中にはあざっすなる体育会系てきな挨拶も聞こえる

同じ学年、クラスメイト何人かに声をかけられ適当に挨拶を交わす。ちなみに先輩は全く分からないため挨拶をしていない。まぁ大丈夫だろう。