僕が夕飯を終えて自分の部屋に戻ろうとするとお父さん帰ってきた。普段は仕事が遅くこんなに早く帰って来ることは無い。どうしたの?と聞こうと思ったらお父さんは
「今日どうしても観たいテレビがあってね。少し早く切り上げたんだ。」
と言って一緒に観ようと誘われ再び居間に行った。

宿題も気になる所だけどまだ一向に決まらない。とりあえずお父さんに合わせてテレビでも観ようかという感じだった。大体仕事切り上げてまで観たい番組って一体何なんだろう。座りながらボーっとブラウン管を見つめた。するとまもなく始まった。

K-1ワールドMAX2003

そう書いてあった。
K1はなんとなく知っていた。お父さんは格闘技好きでよくテレビで見ていた。僕も横目でチラチラ観てはいたけどあんまり関心がなかった。外国人のでかいやつが蹴ったり殴ったりしているだけで特に面白いとも思ったことが無かった。
けど今日のはちょっといつもと違う感じだった。人が小さい?

「今日はな、ミドル級という階級のトーナメントがあるんだ。これがもしかしたら日本人初のK!世界王者が誕生するかも」
と言った。
日本人初の世界王者。僕には意味が良く分からなかった。するとお父さんはこの人この人!と少し声を大きくして言った。
 番組のテロップには{反逆のカリスマ 魔裟斗}と書かれていた。
まさとって読むんだと聞いた。なんか今までの経過のPVが流れていよいよ試合となった。

今日1日で3試合あり、魔裟斗の相手は鉄の拳という異名を持つ相手だった。この選手も知らないがとにかくパンチが強いんだろうということだけ分かった。

その鉄の拳を掻い潜り1試合目を判定で勝っていた。お父さんは良し!と声を上げていた。その後何試合か他の選手の試合があって再び魔裟斗の試合になった。相手はタイ人でムエタイ王と書いてあった。一進一退の攻防の後左アッパー顔面にぶち込み魔裟斗がKOで勝った。いよいよ決勝になった。僕は画面に喰らいついていた。この人がどうなるのか。僕はドキドキして胸の鼓動が高まった。