柳くんは気付いたのか、本から視線をはずして顔だけをこちら向けた。
「あー……っと、」
「どうした?」
なかなか言い出せない私に、柳くんはやさしい声色でそう言った。
声、初めて聞いた。
想像してたのよりも何倍もかっこよくて耳に響く声に、一瞬時間が止まった気がした。
「高木?」
名前を呼ばれて、はっとした。
「あっ、ごめ、えと、その……」
昨日はありがとう。
ぎこちなかったかもしれないが笑顔でそう言えば、柳くんはああ、と言って昨日みたいに微笑んだ。
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