俺の営業スマイルに一瞬で目をハートにしたその女子は、

「あのねぇ?隣のクラスの加藤ゆきなが賢也くんの婚約者だって噂があってぇ、」


…………『婚約者』の噂?!


俺はその一言に、笑顔の裏で衝撃を受けた。

俺は、ゆきなに婚約を迫った事を誰にも伝えていない。

涼にも、誰にも。

だから……情報が漏れるとしたらゆきなからしか有り得ねぇんだが


『婚約、保留にさせて』


中途半端だけど考えたいから、と言ったゆきなが、自分から婚約のことを吹聴するわけねぇ。