―――最近、よく夢を見る。
その夢は――朱い、紅い、血のような色をしている場所で、二人の少年が対峙している場面から始まる。
二人とも黒髪で、髪型もほぼ同じ。後ろは肩で切り揃え、横は耳より少し下まで伸びている。ここまでは同じ。一人は前髪を眉辺りで切り揃えている。そして、もう一人は口元辺りまで伸ばした前髪を、右目を隠すように右側に集めている。
そんな二人の少年は顔の作りも似ていて、兄弟のように思える。
そんな二人の少年の違いが目立つ部分は、瞳だ。一人は左が黒で右が海のような、蒼。もう一人は左が血のような紅で、右は髪で隠れて見えない。
――そこで気付く。
蒼い瞳をもつ少年は――俺だと。
『なんで邪魔をするの?』
『頼まれた。だから、お前の邪魔をするんだ』
紅い瞳をもつ少年の問いに、俺は答える。
『何を言っても無駄なの?僕は君を殺したくはないのに―』
『嘘だな。何回も殺そうとしやがったくせに』
紅い瞳をもつ少年は、さも悲しそうに言うが、俺はそれを否定する。
すると、少年の右手に光が集まり長刀と呼ばれる大きな刀が現れる。それに呼応するように、俺の両手にも光が集まり鍔のない刀が現れる。
『さようなら、――』
『死なないよ。―――俺も、お前も』
互いが互いの距離を走ってつめて、刀が交わる。瞬間、光が空間を包み――真っ暗な空間に場面が変わる。
――これは始まりで、終わりだ――
この声を最後に、夢が終わる。