その状態があと何秒か続いていたら、私は間違いなく倒れていたと思う。

だけどそんな時、絶妙のタイミングで背後から天使の声が聞こえてきた。

「ヤーマーターロー、それくらいにしといたほうがいいぞー」

振り返るとそこには、天使のようなチョコの仁王立ちした姿。

「これ以上いじめたら深月泣いちゃうよ。泣かすなって、約束したじゃん」

……え?

チョコ……知ってたの?

チョコの言葉に、ヤマタロは「ハイハイ」といって私の頭から手を離し、姿勢を正した。

ヤマタロと距離ができて、私はほっと胸をなで下ろす。

「……まぁ、どっちもどっちだけどね」

チョコは私とヤマタロの顔を交互に見比べた。

「深月、あとでゆっくり話そ」

そう言ったチョコは、まるで私が言いたいことが分かったみたいだった。