ヤマタロは、昨日までと何も変わらない涼しい顔で私を見て、
「おまえら、恥ずかしすぎ……」
って大きなため息をついた。

それだけで私は息が止まりそうになるのに、どうしてヤマタロはそんなに余裕なのよ……。

「ほら、これ」

ヤマタロは、手に丸めて持っていたノートを私に差し出した。

さっき、私の頭を叩いたのはこれだったんだ。

「……なに?」

「数学のノート。今日当てられるんだろ、必要なとこ写せば?」

「あ……うん……アリガトウゴザイマス……」

あーもう、私ったら何で敬語になってるのっ!

私は、ヤマタロの手からノートを受け取った。
手が震えていることに、ヤマタロは気づいたかな……。

「ちょっと待ってね、すぐ写しちゃうから……」

そう言って、カバンの中から数学の教科書とノートを取り出す。

すると。

「それ……昨日、ロッカーに忘れたんじゃなかったの?」

「えっ!?」